自筆証書遺言のメリットとデメリットとは
高齢に伴い、そろそろ家族に残す遺言でも書いてみようと思いつき、簡単で気軽に書きだせるのが自筆証書遺言の特徴です。しかし、気軽に書きだせる分、デメリットも多くあるのも実情です。
今回は自筆証書遺言のメリットとデメリットについて分かりやすく纏めてお伝えしますので、自筆証書遺言をこれから検討しようという方は参考にしてみて下さい。

●自筆証書遺言のメリットとは
1. 一人で作成できること(証人不要)
※公正証書遺言で必要な証人等は必要なく、自身単独で作成できます。
2. いつでも、どこでも、簡単に作成できる。
※作成する時期や場所は問わず、簡単に作成できます。簡単とは紙の指定もなく、広告紙の裏面でもいいほど、気軽にできるということです。
3. 遺言の存在を誰にも知られないことが可能
※自身で書き、保管場所も自由なため、家族などに知られずに作成できます。
4. 費用がかからないこと
※かかるとすれば、ちょっと上質な紙代と封筒代くらいです。ペンは油性で修正できないものを使いましょう。今では消えるボールペンもあるので注意して下さい。
上記のようにメリットは気軽に書きだせて費用もかからず簡単ということです。反面、デメリットの方が多いことも念頭にしておかないと、思わぬしっぺ返しが待ち受けていますので、下記で解説します。
■自筆証書遺言のデメリットとは
1. 永久に人目に触れない可能性があること
※作成した後に、特別な場所に隠しておいたものの死後、相続人が発見してくれなかったら何の意味もなしません。
2. 死後、遺言書を発見した人による偽造・変造・破棄・隠匿される可能性がある
※遺言を発見した人が中身を見て、自分に不利な内容だった場合など、破棄や隠匿などをされるリスクがあるということです。
3. 相続発生後に検認手続きが必要
※遺言書を発見した相続人は、開封せず家庭裁判所にて検認手続きをする必要があります。検認を終了したあとでないと各種手続き(口座解約等)ができません。
4. 全文章を自筆で書く必要がある
※基本的には、全文章や不動産の表示なども全て自筆で記載する必要があるため、財産が多い人は大変な作業となります。
5. 遺言書を書く方式や内容の不備で法律上無効となる可能性がある
※法律上の記載方式に従って書いていない場合、無効となり、遺言の効力がなくなるリスクがあります。
6. 詐欺や脅迫の主張がされ、無効となる場合がある
本人の意思で書いたのではなく、この様に書かないと面倒を見ないよと脅迫されて書いた遺言は無論無効となります。
7. 遺言能力が問われ無効を主張される可能性がある
※自分に不利な遺言内容を見て、確かあの時期(遺言を書いた時期)は、既に認知症だったはずだから、この遺言は無効だと主張されるケースです。
8. 法律上は有効であっても実務上は使えない内容でトラブルになる
※遺産の分け方は、渡す相手の立場や考えにも配慮して記載しないと、相続人間で遺言があるせいでトラブルになるケースもあるのです。
執筆者:ISRコンサルティング管財 佐藤 浩之
以上が自筆証書遺言のメリット・デメリットですが、デメリットは意外にも多くあってびっくりされる方もおられたのではないでしょうか。しかし、この多きデメリットの1.~5.までは、相続法の改正により新設された「方式緩和」と「保管制度」を活用すれば、ある程度解消されます。
改正相続法については、別のページで解説しますので、気になる方は検索まどで検索してみて下さい。2025. 12. 14
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