アパート建築で相続対策(節税)の勘違い
未利用地を所有している方は、よく経験されている
と思いますが、建築会社から相続税の節税になるの
でと、建築を勧められるスキームの殆どが、逆に
資産を減少させることになる場合があるって知って
ましたか?
今回は、その資産減少や利回り間違いのカラクリを
解りやすくお伝えします!
◆ 建築会社の提案内容
空地に1億円するアパートを建築し、毎年の収益
が1000万円の為、利回り10%(1000万円÷1億)
の収益になり、且つ、家屋の相続税評価の概算は
建物:固定資産税評価5000万円×(1-0.3借家権)
=相続税評価は3500万円になる説明を受ける。
土地:時価1億×(1-0.6借地権×0.3借家権)
=相続税評価は8200万円になる説明を受ける。
※土地建物共に賃貸割合100%とした場合
土地建物の相続税評価額合計は11700万円−建物
時価1億+土地時価1億=8300万円の評価圧縮になり
相続税率50%の方は8300万円×0.5=4150万円の
節税になりますという説明で、ほほーなるほど
それはいいねと土地を遊ばせているなら建築して
みようというやりとりです。
◆ 利回りの間違い1
利回りの計算は保有土地も投資している考え方で
計算する必要があります。
答え:家賃収入1000万円
−空室損50万円
−運営費150万円
=純収入800万円÷(土地1億+建物1億)
=4%の利回りとなります。
◆ 利回りの間違い2
上記の利回り4%は、1年間だけを切り取った数字
です。収益不動産は数年保有して将来売却すること
を想定して分析します。
仮に建築したアパートを10年間保有して、10年後に
利回り7%の相場で売却するとした場合(家賃は1年
毎に1%下落想定)収益率は-1.30%(-2014.8万円)
となります。
この分析はIRR(インターバル リートオブリターン)
といいます。
◆ 相続税評価と時価は全く別物!
建築したアパート周辺のアパート利回り相場が7%
だとした場合、家賃収入800万円÷7%=1億1429
万円が新築した場合のアパート価値(時価)と
なります。
土地建物の時価2億−1億1429万円=8571万円分、
時価が下がったことになります。
更に、建築会社が提案している相続税評価の合計
11700万円より271万円下がっています。
執筆者:ちばPMA相続サポートセンター 佐藤 浩之
建築提案を受けている地主様 どっき!としたのでは
ないでしょうか?
相続対策は、税金を減らすことと同時に資産を減ら
さないことを同時に分析して対策をしないと、税金
が減っている要因は単に、資産を減らしているだけ
なんていう現場が非常に多いです!
まずは、資産の全体を把握しつつ、将来を見据えて
数値化した分析ができる専門家と一緒に納得したうえ
で各種対策を進めて下さいね。 2022.9.11
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