家族信託の活用例-2
家族信託など、相続における認知症対策が広まり
つつあります。家族信託とはどのようなものなのか。
実際に家族信託をされた方の事例をご紹介します。
土地を所有し、その上に賃貸マンションを建てて
不動産賃貸業を営まれていた80代男性のお話です。
賃貸マンションはいわゆる「法人なり」を数年前に
行い、自ら設立した「不動産管理法人」の所有に
変更していました。
「法人なり」とは、会社組織を作って、個人の事業
及び事業資産を引き継いていくことで、「認知症対策」
として有効であるといわれています。
入居者との折半や、退去や入居手続き、原状回復
工事など、男性がもし認知症などで判断能力を
失っても、賃貸マンションの所有者である法人は
問題なく対処できるので、この賃貸マンションの
認知症対策はばっちりでした。
しかし、そのマンションの前面道路には「いつに
なるかは未定だが、道路拡張をする」という市の
計画があり、自分がその時まで元気でいられるだろうか
と男性は不安に思っていました。
そこで「家族信託」です。
この場合、法人所有の賃貸マンションの下にある、
個人所有の敷地全体を家族信託すると、費用が
高額になってします。
なので、マンションの敷地のうち、拡張計画のある
私道に面した一筆の土地のみ、娘に信託をしました。
これにより、もし道路拡張のための土地収用の話を
持ち掛けてきたときに、男性が判断能力を失って
いても、受託者である娘が市と折半し、売買契約を
することができます。
執筆者:ちばPMA相続サポートセンター K.N
認知症対策には、「委任」「任意後見」「贈与」
「家族信託」「法人なり」など、さまざまな種類
があります。
ですが、認知症になって法的な判断能力を失うと
できなくなってしまいます。
「いつかはする」と思わず、「今」考えてみて
下さい。 2022.11.19
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