親が老人ホームへ入所した時、自宅をどうするか ③賃貸借
「1人で自宅に住んでいた親が自宅を出て老人ホーム
等へ入所する(推定相続人は子のみ)」
こういう時、自宅をどうしておくのが良いか。
パターン③ 第三者に貸す(賃貸借)
この場合、第三者に賃貸した段階で、この不動産は
本人の自宅ではなく、貸家及び貸家建付地となります。
自宅ではなくなるため、相続開始時に、パターン①や
②で出てきた、
『小規模宅地等の評価減の特例(特定居住用宅地等)』
は使えませんが、
『小規模宅地等の評価減の特例(貸付事業用宅地等)』
が使える可能性が高く、その場合、土地の評価額を
200㎡まで50%減額することができます。
ただ、貸していれば無条件で50%減額できるわけでは
なく、要件も厳しく落とし穴も沢山あります。
特例を適用するための要件は、
①相続税申告期限まで貸付事業を継続していること
②相続税申告期限まで保有していること
③相続開始前3年以内に貸付事業を開始した宅地等
でないこと(3年を超えて事業的規模で貸付事業を
行っていた場合は適用可)
③は、被相続人が亡くなる前に駆け込みで不動産賃貸
を始めても、特例は適用されない、ということです。
また、相続後の売却時にはパターン①や②で出てきた、
『空き家に係る譲渡所得の3000万円特別控除』
『居住用財産の譲渡所得の3000万円特別控除』
は、使えませんので、譲渡所得税は高額となる可能性
もあります。
執筆者:ちばPMA相続サポートセンター K.N
パターン③を選択する場合は、親の判断能力に問題が
ないことが大前提となります。
賃貸借の場合は、契約期間中も貸主としての様々な
判断や手続きが求められるため、契約が続く限り
判断能力が必要です。
家族信託などの活用も含め、早めの検討をお勧め
します。 2023.5.27
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