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フリーレントのタイミングはいつが得か?

複数年賃貸不動産を経営している方にとって、空室は最大のキャッシュ損失です。

空室対策の一つとして、借主にメリットとなるフリーレント(一定期間の賃料を無料にする)方法があります。

 

このフリーレントはどのタイミングで借主に提供する方が、貸主(オーナー)にとって得なのでしょうか?

 

通常、単純に最初の数ヶ月をフリーレントにするケースが多いと思いますが、実際の実行家賃(標準賃料からフリーレントを引いた正味賃料)を分析して解説します。

 

 

●実行家賃シュミレーション例

 

・家賃80,000円/月

・フリーレント期間24ヶ月(2年)

・賃貸期間10年間

・賃貸人の期待利回10%

 

単純平均賃料は…

80,000円×8年間÷10年=64,000円ですが、この実効家賃は短期賃貸(1年間)の場合であれば、通用しますが、2年以上の複数年賃貸する長期リースの場合には、時間の経過価値を割引率として現在価値に割戻します。

 

この現在価値を賃貸期間で割って算出する考え方です。

 

少々、分かりにくいですが、複利の銀行預金を例えにすると、100万円を年利率3%の複利で10年間、銀行に預けると、10年後に1349,353円になります。

 

従い、10年後に貰える1349,353円の現在価値は100万円ということです。

この考え方を、賃料に当てはめで算出してみましょう。

 

 

■当初2年間(24ヶ月)のフリーレントの場合

2年までの賃料収入0円

3年目~10年目までの賃料収入は8万円/月という前提で、3年目以降の各年度の賃料収入を現在価値に割引き、合計平均した実行家賃は57,089円となります。

 

■最後2年間(24ヶ月)のフリーレントの場合

8年までの賃料収入8万円/月

9年目~10年目までの賃料収入は0万円/月という前提で、1年目~8年目までの各年度の賃料収入を現在価値に割引き、合計平均した実行家賃は69,671円となります。

 

上記の計算結果により、最後の2年間をフリーレントにした方が、69,671円−57,089円=12,582円 実行家賃がプラスになります。

最初に回収した方が、後から回収する賃料の現在価値は高いということになります。

 

フリーレントのタイミングはいつが得か?

 

借りている人からすると、先でも後でも支払う総額は変わらないため、フリーレントの使い方次第で、収益価値が変ってきます。

 

しかし、実務的には、賃借人からすれば、8年以上住まないと2年間のフリーレント特典は得られないことになる為、入居当初の数か月をフリーレントにするケースが多いのもの現実です。

 

 

執筆者:ちばPMA相続サポートセンター 佐藤 浩之

 

今回は、お金の時間経過による価値について、考えてみましたが、1,000万円の現金を運用しなければ、いつまで経っても1,000万円です。

 

しかし、前記のように、複利預金に預けて運用すれば、お金は増えます。

この複利率3%が、現在価値を割り出す複利原価率のもととなります。

 

複利原価率を算出するには、1÷(1+※割引率0.03)=0.971となり、2年目以降は0.971÷1.03を繰り返していき、各年の賃料を、この割引率で現在価値に割り戻すことで、現在価値が計算できます。※期待複利率3%とした場合

 

この考え方を、ファイナンスの世界では、DCF法(ディスカウントキャッシュフロー)と呼びます。

まさに、時は金なりということです。 2023.10.15

 

 

※上記、掲載内容は投稿時点でのものです。情報改定や法令改定等により、掲載情報が変っている場合がありますので、ご確認をお願い致します。

 

 

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