不動産投資物件の市場価値と投資価値の算出と使い方
不動産の価値を評価する方法は主に3種類と言われてます。
1. 成約物件の比較事例法 ※近隣、類似物件の成約事例との比較
2. 原価法(積算法)※その物件を建築する際の原価評価
3. 収益還元法 ※市場収益率による価値
今回は不動産投資の評価方法である、収益還元法に基づく、市場価値と投資価値の算出方法と、その価値をどう判断に生かすのかについて見ていきます。
●市場価値の算出方法
市場価値とは、市場で売却する時に売れるであろう価格のことです。
逆を返すと、購入する際に割高なのか割安なのかの指標にもなります。
市場価値を算出するのは、投資価値に比べ簡便です。
算式:NOI÷還元率=市場価値
※NOI(ネットオペレーティングインカム)とは、総賃料収入から空室損額と運営費等を引いた正味賃料収入のことです。
※還元率(キャプレート)とは、周辺の類似物件のNOI÷売却価格×100の利益率のことです。
この還元率を算出する際のポイントは、類似物件を3つほど選定し、その平均還元率を基に出すことです。
●投資価値の算出方法
投資価値=税引前キャッシュ(BTCF)÷期待利回り+売却益+ローン残高
※税引前キャッシュとは、NOI−ローン返済額です。
※期待利回りとは、オーナーが期待する要求利回りのことです。
※売却益=市場価値−売却コスト−ローン残高
■投資価値算出の具体例
※購入から5年経過後(現在)に売却するか、保有するかを判断するケース
投資価値算式=税引前キャッシュ(BTCF)÷期待利回り+売却益+ローン残高
① NOI:1,000万円/年 ※毎年同額
② ローン支払額(元金+金利)8,139,308円/年 ※金利2.5%/借入12,800万円/期間20年の場合
③ オーナーの期待利回り5.0%
④ 売却時還元率5.0%
⑤ 売却コスト:市場価値×5%
⑥ 売却益=88,277,343円【市場価値(NOI:1,000万円÷売却時還元率5.0%)−売却コスト1,000万円−現在のローン残高101,722,657円】
⑦ 現在のローン残高101,722,657円
投資現在価値 227,213,840円(①−②)÷③+⑥+⑦ > 市場価値 200,000,000円(NOI/1000万円÷還元率5.0%)
執筆者:ちばPMA相続サポートセンター 佐藤 浩之
市場価値と現在投資価値を比べた結果、市場価値より投資価値の方が27,213,840円高いことが分かったので、今回は売却せず、保有するという選択をします。
この計算は、今売るべきか否かを判断するものですが、将来5年後の売却予定の場合は、それまでの予測収入と売却予測益を現在価値に割引、将来の予測を立てることもできます。
いずれにせよ、このように価値を出すには、さまざまな根拠を持った予測分析数値が必要です。
その為、実務的には不動産投資分析ができる専門家と一緒に進めていくのが現実的です。
弊社では、今、保有している投資不動産の成績を分析(中間分析)も行っております。
リノベーション(資本的支出)をした後に変わるNOIや空室率などにより、原状維持よりも高い収益率をたたき出す不動産に生まれ変わることもあります。
このままでいいのか?と不安になった際は、お声かけ下さい。 2023.11.05
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