遺品整理の留意点と手順
相続遺品は相続の開始(被相続人死亡)の時から一旦は相続人全員の共有財産となることから、遺品整理も原則、相続人が行うことになります。
日頃から被相続人との間で財産内容の情報共有を行っていない場合には、遺品の中から手掛かりを見つけ、相続財産の全容を把握していく必要があります。
■遺品整理は4つのカテゴリに分けて行う
(1)重要書類の把握
預金通帳、キャッシュカード、証券会社通知、不動産権利証などは相続財産を正確に把握するうえで重要な手掛かりとなりますので、重要書類として保管しましょう。
(2)価値のある遺品
貴金属や宝石なども相続財産として申告する必要があります。価値のわかりづらい美術品や骨董品などは、古美術商などに査定依頼して価格を把握していきます。
(3)価値はないけど残したい品
想い出の写真や日記、愛用品などが該当しますが、このような品は形見分けの対象となります。分ける前に相続人全員のコンセンサス(全員の合意)を得てから分けましょう。
(4)それ以外の不用品
上記(1)~(3)に該当しない物は不用品として廃棄処分のカテゴリになります。
●相続放棄や限定承認を検討する可能性がある場合の注意点
相続人は相続の開始を知ってから3ヶ月以内に
①単純承認
②相続放棄
③限定承認 のいづれかを選択する必要があります。
明らかに相続財産より借金などのマイナス財産の方が大きい場合には、相続放棄を選択しますが、よく解らないような場合には限定承認(プラス財産の範囲内でマイナス財産を相続する)を選択することもできます。
この相続方針を決定する前に遺品を処分してしまうと
「相続人が相続財産の全部または一部を処分したときは、単純承認をしたものとみなす」という民法921条の規定により
相続放棄や限定承認ができなくなってしまう可能性があります。
その為、相続財産の全体を把握できないうちは、遺品の売却・換金、形見分けや不用品の廃棄処分なども行わないようにしましょう。
執筆者:ちばPMA相続サポートセンター 佐藤 浩之
相続発生から3ヶ月以内という期間は、以外にも短くあっという間です。
被相続人の亡き後、悲しみに暮れる間もなく遺品整理をし、相続方針を決定する必要があるのです。
この熟慮期間は家庭裁判所に申し立てを行い、認められた場合は3ヶ月~6ヶ月程度、延長することもできますが、次のような正当な理由が必要です。
・特定の相続人が相続財産に関する情報を開示してくれない
・借金等の負債の調査に時間がかかる
・相続関係が複雑で必要書類の取得に時間がかかる
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