ISRコンサルティング管財

相続・事業承継に自己信託を利用する方法

家族信託という俗称を最近よく見聞きするようになりました。信託法は1922年(大正11年)の制定時以来、80年以上に渡って実質的な改正がなく、商事信託(信託銀行等の信託を業とする信託)が主流でした。

しかし、時流に合わせて2006年(平成18年)12月に「信託法改正」が行われ、2007年(平成19年)9月より施行されてからは、一気に活用幅が広がったこともあり、認知度も上昇傾向です。

今回はこの家族信託のスキームでも「自己信託」というものを使って、相続や事業承継を上手に行う方法を事例を踏まえお伝えします。

相続・事業承継に自己信託を利用する方法

■家族信託の登場人物と意味…

委託者=自分の財産の管理処分を委託する人

受託者=委託された財産を管理処分できる権限がある人

受益者=委託された財産から得られる利益を受け取る人

●自己信託応用例1 賃貸不動産経営を自己信託

父親が運営する賃貸マンション経営を自己信託を使って承継すると…

委託者兼受託者が父親となり、受益者を長男とする信託組成法です。

この方法により、信託財産は受益者の実質的財産となる為、賃貸不動産は長男に移転したことになりますが、長男は管理・処分がまだ上手くできない又は親が管理処分権限を持ちたい場合に利用する方法です。

●自己信託応用例2 自社株を自己信託

現社長が保有する自社株を自己信託を使って承継すると…

会社の事業承継に信託を使う方法です。株は金銭的な価値であることに加え、会社の経営権限が誰にあるのかを示すものです。

従い、自社株を事業承継で息子に承継しながら、経営権は現社長(父親)が握った状態を自己信託を使っておこないます。

大株主の父親が委託者兼受託者となり、受益者を事業を承継する息子にすることで、自社株式を実質的に贈与しながらも、継続して現社長の親が経営権を握ることができるスキームです。

注意1)自己信託は税務的には「みなし贈与」として贈与税の課税対象(受益者側に課税)になりますが、贈与契約のように互いの意思(あげます、もらいます)がなくとも、親側単独で財産移転が実行できます。

注意2)自社株式を信託するタイミングは株価を下げて信託することです。理由は「みなし贈与税」の節税対策です。

執筆者:ISRコンサルティング管財 佐藤 浩之

いかがでしたか、あまり聞かない自己信託を利用することで、今まで自社株等を生前贈与することで経営権も放棄せざる得ないことになり、事業承継や相続対策で躊躇していた社長様も多いのではないでしょうか。

この自己信託を使った事業承継は今後、円滑な事業承継や相続に大変有効な実務として活用されることでしょう。 

弊社では、特殊な信託組成を得意とした士業と連携して、他の相続対策等も併せて総合的にサポートが可能です。

基本、サービスエリアは関東中心ですが、信託においてはリモート等で全国対応も可能です。事前相談などお気軽にご相談下さい。 2024. 6. 16

※上記、掲載内容は投稿時点でのものです。情報改定や法令改定等により、掲載情報が変っている場合がありますので、ご確認をお願い致します。

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