相続財産から控除できる葬儀費用と出来ない費用の詳細区別
相続発生後によく質問を受ける内容として、相続税が発生する方にとっては、相続課税財産から控除できる葬儀費用は気になるところです。控除できるか否かの概念は、葬儀に直接かかった費用なのか、そうでない関連費用なのかにより分かれます。
葬儀のマメ知識も交えて、これを読めば相続に関連する葬儀の知識は網羅できる内容を一気にマトメテお伝えします!
■4種の葬儀種類と費用相場
1. 一般葬:通夜と告別式を2日間かけて行う従来からの一般的な葬儀(100万円~200万円)
2. 家族葬:通夜と告別式を2日間かけて家族で行う小規模な葬儀(30万円~100万円)
3. 一日葬:通夜は行わず告別式のみ行う葬儀(50万円~100万円)
4. 直葬等:葬儀は行わず会葬者も呼ばない、火葬のみの形式(20万円~50万円)
お葬式に関する全国調査(鎌倉新書2022年3月)によると過去最低の110.7万円が平均葬儀費でしたが、コロナ等での外出自粛が影響している為、一般的には平均200万円位が全国平均のようです。
■相続財産から控除できない葬儀関係費
① 香典返しは控除不可
※香典を頂いた方に半額(半返し)又は1/3程度をお返しするもの
② 墓地/墓石は控除不可(相続発生後)
※生前に購入した墓地等は相続財産にはならない為、購入費分、相続税の節税にはなる。
③ 法事/法要は控除不可
法事とは法要を含む行事全般のことを指し、法要は初七日や四十九日、一周忌などに読経や焼香、僧侶の説法などの宗教的な儀式をいいます。
※繰上初七日(葬儀と一緒に初七日を行う)場合、葬儀と初七日の内訳がない領収書の場合は、初七日費も合わせて控除できる場合があります。
④ 墓石の彫刻費用は控除不可
■相続財産から控除可能な葬儀関係費
1. 通夜/告別式費用
2. 飲食代(通夜や告別式、火葬所で振る舞うもの)
3. お布施(お坊さんや寺に払うもの)
※領収書がない場合でも金額、支払先、名称、日付けが分るメモで控除可
4. お車代(お坊さん等が利用するタクシー代等)
5. 火葬/埋葬費(火葬場までのタクシーや交通費含む)
6. 遺体運搬費用
7. 死亡診断書作成費(病院作成/約3千円~1万円)
※死亡届や火葬許可書を取得の際に使う。
8. 心付け(葬儀を手伝ってくれた方に支払う費用)
9. 納骨費用(火葬後、四十九日や百箇日、一周忌に納骨する)
10. 旅費/宿泊費(一部)
※喪主等、葬儀を行う人の費用に限る為、参列者は不可
11. 喪主負担の生花/花輪/果物
12. 会葬御礼(葬儀に参列した方へ香典金額に関わらず渡す同じ品)
13. 位牌/仏壇(一部)白木位牌
※白木位牌とは、葬儀の祭壇に安置する仮の位牌で、四十九日まで祭壇に祭っておく葬儀に必須の仏具の為、特別に葬儀費に含めることが可能。
14. 戒名料
※戒名とは仏弟子(お釈迦様や出家した弟子)の証の名前で、戒名を受けることで仏門に入ったことになる。
●戒名のマメ知識●
※宗派によっては戒名がなく、浄土真宗では戒律がない為、法名といい、日蓮宗では法号と呼ぶ。(戒名料は一般的に30万円~50万円)
【戒名のランクと料金】
・信士(しんし)信女(しんにょ)20万~30万
・居士(こじ)、大姉(たいし)40万~60万
・院居士(いんこじ)院大姉(いんたいし)80万~100万
・院殿居士(いんでんこじ)院殿大姉(いんでんたいし)100万~300万
執筆者:ISRコンサルティング管財 佐藤 浩之
以外と金額が大きい墓地/墓石は相続発生後に購入しても購入費用は相続財産から減っても相続課税財産からは控除できないことに注意して下さい。
生前に墓地/墓石を購入すれば、墓地等は相続財産には入らない為、節税に繋がります。墓地を買うなら生前に!
また相続税に強い税理士に依頼することも重要なポイントになります。税理士だから全ての税に詳しいのでは?は間違いです。病院が各専門科に分かれているのと同じで税理士も得意な税科目に分かれるのです。 2024. 7. 28
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