ISRコンサルティング管財

親族の財産管理の方法と留意点

相談者の中で近年増加している相談内容として、高齢の両親が不必要な商品を購入したり、訪問営業の言いなりで保険に加入したり、そもそも物忘れや大事な通帳などの紛失が目立つようになってきました。

両親も今後の財産管理は、お前に任せると言ってくれてますが、別居している兄弟等が親の財産を独り占めにするのではないかと、いらぬ探りを入れてきます。

兄弟などの親族にも正々堂々と親の財産管理を行っていると証明したいのですが、財産管理の方法にはどのようなものがあり、留意点などを教えて下さいというものです。

■4つの財産管理方法と留意点

1.財産管理等委任契約

両親から都度、手続き等の代行として委任状を書いてもらい、親に代わって手続きをする委任や、財産管理について、具体的に管理する財産の指定と目的、委任権限を決めて委任契約により代行するものです。

留意点:委任は民法上あくまで、事務処理を委託するものです。簡単な手続きであれば、委任状(認印)で手続きできますが、重要な法律行為を成す場合には、法律行為の相手方から委任状(実印)及び印鑑証明、本人確認と意思能力の確認を要求される場合があります。

従い、他の親族からすれば、現状維持や必要最低限の療養看護管理などをエクセル等で管理報告してもらい、重要な贈与や不動産売却、運用などは親族との相談や承諾が必要になります。

2. 任意後見制度

本人(両親)が元気(意思能力有る)なうちに、信頼できる息子等に自らが認知症等になった時に備えて、事前に任意後見契約を交わしておき備えるものです。

留意点:任意後見は、両親等が判断能力の低下に伴って、家庭裁判所に申し立てを行い、後見監督人の選任後、初めて任意後見者が本人の管理を開始できます。

従い、判断能力があるうちは、任意後見に伴う管理はできないことが最大のポイントです。

また、本人の利益に反する不動産の売却や贈与、運用等の相続対策はできず、任意後見監督人に対し、生涯管理報酬の支払いが生じると共に、定期的に家庭裁判所に財産管理の報告義務があります。

3. 法定後見制度

本人(両親)が判断能力を喪失した以降に家庭裁判所に申し立てを行い、判断能力の程度に沿って、後見人、保佐人、補助人が選任され、その後見者が本人に代わって財産管理を行うものです。

留意点:デメリットは任意後見とほぼ同一(後見者報酬、裁判所報告)ですが、最も違う点は、判断能力を喪失したあとに開始されるもので、後見者は自ら選べず、親族が後見者になれる確率は低く、司法書士や弁護士などの第三者が就任されるケースが大半です。

また、後見者は本人の財産を法的に守る立場として就任される為、不要な自宅の売却や贈与、運用等の相続対策は一切できなくなります。

4. 家族信託(民事信託制度)

信託法の改正により、元気なうちに家族に財産の管理や資産運用、自宅の売却や贈与契約など、多肢に渡る相続対策などを信託契約により家族に信託するものです。

留意点:信託契約をする際に生じる専門家報酬(30万円~80万円)が発生する。
他の家族に無断で信託契約をした場合、財産管理の自由度が高い内容な為、財産の独占など不信を抱かれ、トラブルに発展する場合がある。

■まとめ

財産管理といっても各家庭の事情はさまざまです。従い、管理する目的や利害関係者との関係や状況により、管理方法を選択することになりますが、最も合法的に自由度が高く管理するのであれば、4.の信託管理です。

また家庭の状況に沿った管理方法の選択は、専門家を交えて行って下さい。後にこんなはずじゃなかったという相談も少なくない為、幅広く各種の課題の解決指針を示せる窓口を選びましょう。

執筆者:ISRコンサルティング管財 佐藤 浩之

各種の法的な管理方法は完全ではありません。財産管理と資産承継を完全に整えるのであれば、遺言の作成、任意後見契約、家族信託の3つで備えることです。
私どもは「財産管理の三種の神器」と呼んでます。

家族の状況により幅広く柔軟に相談に応じれるのが弊社の特徴です。財産管理に限らず、相続問題、不動産問題などが相互に関係している相談内容が多いのも現実です。

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