新制度で証券口座の凍結対策を!
相続発生に限らず、口座名義の当人が認知症になった場合、銀行がその事実を知った時点で預金口座は凍結します。凍結とは出入金や振込等、全ての手続きができなくなり、介護費用なども引き出せなくなるため、不便極まりないことです。
預金口座凍結と同時に証券口座を保有している場合についても同様に証券口座が凍結することになります。今回は、証券口座凍結の対策として発足した、新制度「家族サポート証券口座」の特徴と家族信託との違いを簡潔にお伝えします。

■日本証券業協会創設「家族サポート証券口座」とは
対象者:65歳以上の高齢者
代理人:配偶者、子、孫
契 約:本人と家族代理人とが公正証書による委任契約を締結
この委任契約によって、代理人家族は契約内容の管理・運用方針に沿って証券口座の資産売買を行うことができるようになります。その際、証券会社は委任契約の運用方針に沿っているかをチェックします。
この制度利用により、介護費や治療費などまとまった資金が必要な際に、代理人が株式や投資信託を売却して現金を準備することが可能になります。
●家族信託との違い
信託口座の売買等を家族に信託することも可能ですが、信託会社が信託口口座に対応していない場合には不可能です。家族信託に対応している信託会社であれば、家族信託契約によって、信託口座管理に限らず、預金、不動産、相続対策、贈与や資産承継指定など幅広く信託組成できるのが大きな違いです。
●通常の金融機関口座凍結に対応した「代理人指名制度」とは
家族サポート証券口座開設によって、売買した現金を通常の民間金融機関に入金する際、認知症によって、当該民間口座が凍結してしまったら意味がありません。
そこで、「代理人指名制度」を利用する方法があります。本制度は、予め銀行に代理人を登録しておくことで、代理人が本人の銀行口座から引き出しや振込が出来る制度です。しかし、この制度は日常的な入出金に限定されることが特徴で、短期的な生活費対応や預金管理が目的となります。
執筆者:ISRコンサルティング管財 佐藤 浩之
口座凍結対策として3つの制度をご紹介しましたが、預金に限らず、将来の自宅売却や収益不動産の売却購入、相続対策など幅広く柔軟に資産管理を行いたい方は、やはり家族信託がおススメです。
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