ISRコンサルティング管財

家族信託組成後に借入する時の注意!

家族(民事)信託のコンサルをする際に信託組成後の借入まで予測した組成をサポートしなければ、将来発生するリスクに備えることが出来ません。今回は、信託組成後に金融機関から借入して不動産等を購入する際に、税務上の借入(債務)控除が否認されてしまうリスクについて解説します。

●信託借入2パターン

① 信託「外」借入
委託者兼受益者であるオーナー様の個人の借入として金融機関から借入をし、個人名義で不動産を購入後、その不動産を後から信託に加える追加信託する方法です。

長所:借入契約者がオーナー様本人である為、将来お亡くなりになった際には、当該借入が債務控除として否認されるリスクは極めて低いこと。

短所:借入→不動産契約→追加信託の流れを行う際には、オーナー様に完全な意思能力が必要となる為、信託の目的である「将来の判断能力低下に備える」という点では矛盾が生じます。

② 信託「内」借入
信託受託者が信託の権限に基づき受託者名義で借入→不動産購入をする方法です。

長所:委託者の意思能力に関わらず、受託者単独で一連の手続きが可能であること。

短所:借入名義が受託者となるため、将来、相続が発生した際に当該借入が債務控除として認められるには、被相続人の借入債務であることを税務署に証明する必要がある。

【信託「内」借入が被相続人の債務であると証明する方法】

1. 信託契約書に受託者の借入権限を明記する
『受託者は、信託の目的を達成するため、信託財産を担保に供し、または信託の名義をもって金融機関等から借入をすることができる』の記載がない場合は、権限外行為と見なされ、借入そのものができなくなります。

2. 金銭消費貸借契約書に明記する
金融機関との契約書に「本融資は、令和〇年〇月〇日付信託契約書第〇条に基づき、受託者が信託財産として取得する下記不動産の購入資金に充当するものである」という内容の条項や特約を記載して頂きます。このことで将来、税務署に対する説明が容易になります。

3. 借入金の管理を明確にする
借入金は、受託者個人の口座ではなく、信託口口座に入金し、その口座から購入する不動産の売主口座へ振込む流れを明確にします。このことで借入金が信託財産の為に利用されてことが客観的に分ります。

4. 返済資源が信託財産から行われていること
借入返済が信託口口座から自動引落としで返済されているなど、会計帳簿でも明確に残しておくことで、債務控除の適用を裏付けることになります。

5. 受益者連続型を利用する
受益者連続信託とは、当初の受益者が亡くなった後も信託は消滅せず、次の受益者を指定しておくことで、引き継がれます。このことで信託内容(資産・借金)は一体のままのため、税務上も借入控除が認められることになります。

注意)受益者連続型ではなく、受益者の死亡により信託が終了する信託内容では、税法上、『借金債務も引き継ぐ』という明確な一文がないため、借入債務控除が受けられない可能性が高くなります。

執筆者:ISRコンサルティング管財 佐藤 浩之

信託借入には法務、税務、司法、金融機関審査や不動産の評価運営など、多方面に渡る専門家の知識が必要です。私も保有する信託資格『家族信託コーディネーター』を最大限生かし、皆様に貢献できるよう日々、勉強しております。

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