ISRコンサルティング管財

特別受益と寄与分の改正民法に注意

令和3年の改正民法(施行日:令和5年4月1日)により、特別受益と寄与分の考え方が大きく変わったことにより、遺産分割にも大きな影響があります。
今回は、その改正後の特別受益と寄与分にフォーカスして解り易く解説します。

●特別受益とは
被相続人から生前に贈与や遺贈などによって、相続人が受けた特別な利益のことをいいます。
例えば、住宅を取得する際に2,000万円の贈与を受けたとか、結婚準備金として1,000万円を貰ったなどが該当します。

●寄与分とは
被相続人の生前に、財産や生活の維持・増加に特別の貢献をした相続人が、他の相続人よりも多く遺産を相続できる取分のことです。

例えば、会社経営を無償で手伝っていたとか、長期に渡る介護などが該当します。

■改正民法後の特別受益と寄与分について

相続財産は相続開始と同時に相続人間の共有状態となり、遺産分割協議をする期限が法的に定めされていない為、数十年も遺産共有状態が続いているケースがあった為に、次のように改正されたのです。

【民法改正後は、相続開始から10年を経過した後に遺産分割する場合は、特別受益や寄与分の主張はもうできず、原則として、法定相続分による分割となる】

留意点として、改正法の施行日は令和5年4月1日ですが、施行日前に開始した相続であっても、改正法の適用を受けることです。

法改正には、一般的に一定の経過措置がありますが、今回の改正の経過措置そして「相続開始から10年」と「施行日から5年」のいずれか遅い時までに遺産分割すれば、この特別受益と寄与分の主張はできます。

執筆者:ISRコンサルティング管財 佐藤 浩之

例外として、10年を経過する前に家庭裁判所に遺産分割請求した場合や、10年の経過する前6ヶ月間に、遺産分割請求できない「やむを得ない」事由があるケースなどは経過措置があります。 

うちの家族は仲がいいから大丈夫と考えているのは親に限った先入観で、いざ親亡き後に兄弟間で争っている現場を見てきた私としては、このような制度改正に意識が向きます。 2025. 10. 19

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