相続発生前後の共有名義アパート賃料の扱いと注意点
共有名義のアパートを所有する代表共有者1名の預金口座に賃料が振込まれているケースが現場ではよくみかけます。このような状況下で共有者のうち一人に相続が発生した場合の権利(民法)と税金(税法)について、以外と勘違いしている方が多い為、留意点等をまとめてお伝えします。

■相続発生前の共有名義の賃料について
共有名義の賃料を共有者のうち1人の口座に振込されていた場合、賃料収入は共有持分に応じて不動産所得として申告する必要があります。もし、口座名義の1名が振込賃料全額を自らの不動産所得として申告していた場合には、他の共有者から贈与を受けたという扱いになる可能性がある為、注意して下さい。
対策としては、振込口座は1つでも、1年に一度は共有持分に応じて各共有者名義の口座に振り分けることです。年間110万円以内であれば、暦年贈与の非課税枠以内となる為、申告は不要ですが、定期贈与と見なされた場合には、総額に対して一括で贈与税が課さられるリスクも忘れずに!
■相続発生後の共有名義の賃料について
共有アパートの名義人のうち1人の相続が発生した場合の遺産分割まで賃料は、民法上は、法定相続分割合で、相続人全員に受け取る権利が生じます。遺産分割協議後であれば、賃貸不動産を取得する事となった相続人に賃料を受け取る権利が移ります。
但し、相続人全員の合意によって、相続が発生後から遺産分割まで賃料を遺産分割の対象とする事で、相続人の一人が取得する事も可能と解されてます。
留意点は、前記のように共有名義の一人の口座に賃料が振込まれており、口座名義人が被相続人として亡くなった場合には、金融機関が口座名義人の死亡を知った時点で即口座凍結(引出・入金・振込)される為、賃借人からの振込もできなくなることとなり、一旦、振込管理口座を変更する必要があります。
執筆者:ISRコンサルティング管財 佐藤 浩之
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