子供がいない相続資産の承継ポイント
子供がいないご夫婦から、私達が亡き後の資産はどうなるのですか?また、どういう方法があって、どう選択すべきかという相談事例が意外にも多くある為、今回は子供がいない夫婦の資産承継について、事例から全体像のポイントを解り易く解説します。
【事例前提】ご夫婦(子なし)・ご両親存命、夫婦共に兄弟がいる
何も対策をせず、夫婦のいずれかが先に亡くなり、相続が発生した場合、法定相続分となる各相続人の取分は、配偶者が3分の2と親が3分の1を取得することになります。親亡き後は配偶者が4分の2、兄弟が4分の1が法定相続分となります。(遺産分割協議で自由に変更可)

自らの意思で亡き後の資産の行先を指定したい場合には、幾つかの方法とポイントがあります。
●対策1 夫婦相互遺言の作成
1つの遺言で夫婦2人の遺言指定は出来ない為、互いに自らが亡くなった際には、配偶者に財産を相続させると記載します。
ポイント① 遺留分に注意する
全財産を配偶者に相続させる内容の遺言を作成していても、法定相続人である親は遺留分という、法律で最低限保障されている取分があります。(法定相続分の2分の1)その為、相続発生後、親から遺留分侵害請求をされるリスクがあるということです。
兄弟姉妹には遺留分がない為、兄弟に対する遺留分は考慮してくても大丈夫です。尚、遺留分は生前に放棄することも可能です。詳細は別の記事で…
ポイント② 予備的遺言を付記する
自分が亡きあとの財産は配偶者へ、その後、配偶者も亡くなった場合にはNPO団体に寄付したい場合、遺言では団体への寄付までの指定【後継ぎ遺贈】は、原則として法的拘束力が認められない為、予備的遺言を付記(例:配偶者が私より先に、または同時に死亡した場合は、指定団体へ遺贈寄付する)しておくとこで回避することができます。
【留意点】夫婦相互遺言を作成ていいても、配偶者のいずれかが亡き後に、残された配偶者が遺言書を作り換えるリスクは排除できないという点です。
●対策2 信託の活用
配偶者の一方が遺言書を作り換えるリスクを廃除し、確実に財産の承継先を指定したい場合には、家族信託か商事信託を活用することで回避できます。
内容は、夫婦がそれぞれ信託委託者となり、受託者を信頼のおける親族または信託会社を指名し、当初は自らが受益者として信託契約を結びます。その後、自身が亡き後は生存配偶者を受益者として生活の保護をする内容とします。
最終的に夫婦共に亡くなった際には信託契約を終了させ、残余財産を指定の団体へ帰属させる内容にしておけば、確実に自分の想いを実現することができます。
信託契約により遺言書の作り換えリスクの廃除に加え、夫婦のいずれかが認知症になった際にも、受託者が信託契約に基づき各種法律行為を行うことができます。
執筆者:ISRコンサルティング管財 佐藤 浩之
現在、 一般社団法人Will for Japanと一般社団法人日本承継寄付協会が、「フリーウィルズキャ
ンペーン」(https://willfor.org/)を展開しており、遺言書を作成する方に対し、最大 10 万円助成す
るというキャンペーンがあります。
専門家(コンサルタント・弁護士・司法書士・行政書士など)が受け取る報酬も助成の対象です。
期日:2025年12月末までに事前申請し、遺言書を2026年6月末までに本申請することが条件です。
これをきっかけに遺言を作成してみましょう。注意点は、遺言作成は手段であり、重要なのは遺言の中身です。節税やトラブルにならない分け方が肝要です。 2025. 11. 23
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