賃貸アパート経営をする方にとっては、必須とも
言えるデットクロスの理解
しかし、他人に伝わるように説明して下さいと
言われた時に、本当に理解していないと説明できな
いのが、このデットクロスです。
不動産投資の専門家の解説では分かりにくい為
一般の方でも、わかりやすく図解と例題を使って
解説します!
デットクロスを言葉でいうと
減価償却額を元金返済額が上回る(クロスする点)
時点のことです。
■減価償却額とは
税務上、経費として計上できる建物の償却額のこと
家屋は定額法のみで、下記の算式です。
例:家屋価格2,000万円・築15年・木造アパートの
減価償却額は…
償却期間=(耐用年数22年−経過年数15年)+
経過年数15年×20%=10年
※他の法定耐用年数は…
(軽量鉄骨19年・鉄骨造34年・RC47年)
減価償却額=建物価格2,000万円÷償却期間10年
=200万円/年間
※築年数が法定耐用年数を超えている場合は?
減価償却期間=法定耐用年数×20%
上記から10年間、毎年200万円を経費として収入か
ら引けるのが減価償却経費です。
■元金と金利(元利均等返済)の仕組み
通常、アパート購入には元利均等返済を使います。
この返済は、元金と金利の合計返済額を均等に返済
していく返済方式です。
下記図の赤いラインから上の部分が利息で下の部分が
元金部分となり、返済が進むにつれ、元金と金利返
済の割合が逆転していく仕組みになってます。
上図の青の部分が減価償却経費部分です。
一定額の減価償却額を元金返済額が上回る(クロス)
部分(時点)がデットクロスの正体です!
■なぜ デットクロスが危険なのか?具体例
・収入1000万円/年
・運営費180万円/年
・ローン返済550万円/年
(当初内訳/元金200万円:利息350万円)
・減価償却額200万円
上記のアパートを手残キャッシュフロー計算と
所得税上の計算に分けます。
■キャッシュフロー計算
・収入1,000万円−運営費180万円−ローン返済550万円
=手残り270万円
■所得税の計算
・収入1000万円−運営費180万円−ローン利息350万円
−減価償却額200万円=課税所得270万円
※所得税率30%の場合の所得税は
(課税所得270万円×30%)81万円となります。
※ローンの利息のみ経費にできます。
■時間の経過でキャッシュアウトになる?
上記の計算から手残り270万円−税金81万円=
189万円が税引き後の最終手残り額です。
ここで、今一度、図解を見直してみて下さい。
元金返済は時間が経につれ、返済額が上がり、賃料
も下がる傾向にあります。
キャッシュアウトの例は・・・
※賃料20%減・利息支払150万円になった場合
■キャッシュフロー計算
・収入800万円−運営費180万円−ローン返済550万円
=手残り70万円
■所得税の計算
・収入800万円−運営費180万円−ローン利息150万円
−減価償却額200万円=課税所得270万円
※所得税率30%の場合の所得税は
(課税所得270万円×30%)81万円となります。
結果 手残り70万円 〈 所得税81万円
手残りより税金の方が多くなり、支払ができなく
なる!(キャッシュアウト現象)
これが、デットクロスの恐ろしい実証です。
損益計算上では黒字でも、実際の手残りは赤字という
現象です。
執筆者:ちばPMA相続サポートセンター 佐藤 浩之
いかがでしたでしょうか?
理屈で考えるより、元利均等返済と減価償却の仕組
さえ理解できれば、図解を頭に入れて、他人にも説
明はできます。
実務では、このデットクロスにならないように
購入前と購入後の対策が幾つかありますので、次回
はデットクロスの全対策について、発信しますので
お楽しみに! 2023.6.04
※上記、掲載内容は投稿時点でのものです。
情報改定や法令改定等により、掲載情報が変っている
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