【賃貸の退去費用】原状回復と経年劣化②
賃貸物件の住み替えを検討するときに、気になるのが「退去時の費用」です。「部屋に汚れや傷をつけてしまったけれど、修繕費用は請求されるの?」と不安に思う人も多いことでしょう。
結論から言うと、すべての汚れや傷の修繕費用を入居者が負担しなければならないわけではありません。ポイントは、それが「経年劣化によるものなのか」それとも「原状回復義務の範囲にあたるのか」という点にあります。
原状回復とは?
賃貸物件を借りると、入居者(借主)には原状回復義務というものが生じます。
原状回復義務とは、ガイドラインでは「貸借人の居住、使用により発生した建物価値の減少のうち、貸借人の故意・過失、善管注意義務違反、その他通常の使用を超えるような使用による消耗・毀損を復旧すること」と定めてます。
つまり、わざと壊したり、不注意で傷をつけたり、掃除を怠ったりしてできた汚れなどは、入居者の使い方に問題があったとみなされ、その修繕費用は入居者が負担するということです。
たとえば、家具を移動させるときにつけてしまった傷、飲みこぼしを放置してできたシミ、掃除をしなかったためにできたバスやトイレの水垢やカビなどです。タバコによる壁の黄ばみや臭いも、自然に着色したものではないとして原状回復の対象に該当します。
ちなみに、画鋲のような小さな穴でなく、クギやネジなど下地ボードの張り替えが必要な穴は原状回復費用を請求される場合があります。
経年劣化と原状回復の関係
では、入居者の過失による傷や汚れがある場合、その原状回復費用は全額支払わなければいけないのでしょうか。契約内容にもよりますが、答えはノーです。原状回復費用は、すでに賃料として支払っている経年劣化と通常損耗分を差し引いて考えるのが基本です。
経年劣化と通常損耗による価値の減少は、内装材や設備の耐久年数と入居年数を踏まえて考え、これをもとに、「退去時の残存価値」を割り出します。
たとえば、ガイドラインによると、部屋の多くを占めるクロスの耐久年数は6年とされています。
つまり、3年住んだ部屋のクロスの張り替えに10万円かかる場合、クロスの耐久年度は6年なので、居住期間が3年であればクロスの価値は50%となり、入居者が支払う原状回復費用も50%の5万円となります。
ちなみに、その他の設備の耐用年数は、流し台が5年、エアコンは6年、便器やユニットバスなどは15年とされています。
では、耐久年数を超えた設備は、入居者の不注意で破損させてしまっても、工事費用はかからないのでしょうか?
ガイドラインによると、耐久年数を超えたとしても継続して使用可能な設備は、入居者の故意・過失によって工事が必要になった場合、その工事にかかる費用の一部を入居者側も負担する可能性があるとしています。
賃貸物件は、あくまで借りた部屋です。民法では他人の物を借りた場合、一般的・客観的に要求されるレベルの注意を払って使用する「善管注意義務」が生じます。耐久年数にかかわらず、注意を払って使用する義務があることを覚えておきましょう。
LIFULL HOME’S ニュースより

執筆者:ちばPMA相続サポートセンター Y.S
原状回復は、物件によって状況が変わるので判断が難しいですね。
退去時の負担を少なくするためにも、入居中に気を付けるに越したことがないようです。
2025. 03.03
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